Omizu

Sweet Dreams(原題)のOmizuのレビュー・感想・評価

Sweet Dreams(原題)(2023年製作の映画)
3.8
【第96回アカデミー賞 オランダ代表】
エナ・センディヤレヴィッチ監督の長編二作目。ロカルノ映画祭で主演俳優賞を受賞、オランダ映画祭で6冠に輝くなど評価の高い作品。アカデミー国際長編映画賞オランダ代表として選出された。

全編において画面設計がしっかりしている。どこをとっても画になる。そこで語られる搾取の物語はまぁよくあるものではあるが及第点以上はある語り口でよかった。

まず第一に映像が素晴らしい。農場主の家、流れる川、先住民たちの居住区、どれもしっかりとした画面設計がされている。流麗でキマッたカメラワークも高いレベルにある。

砂糖を生産する農場主が亡くなるのだが、そこで遺産相続人にされているのが実の息子ではなく、メイドに生ませた少年だった…という話。それ自体は何度も聞いたことがあるような物語だが、センディヤレヴィッチ監督の手によって夢幻的に語られていく。

文句のつけようがないアート映画。物語の起伏という意味ではあまりないが、映像体験として貴重であるし、監督の力量を大いに感じる一作であった。燃えて終わる映画にはハズレがないというのが持論だが、本作もそうであった。新しさはあるとは言えないが、美しく残酷な叙事詩として評価できる作品であるように思う。
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