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日本の熱い日々 謀殺・下山事件のchiyoのレビュー・感想・評価

3.5
2023/6/3
1949年7月、国鉄初代総裁・下山の轢断死体が発見される“下山事件”が発生。この事件から約1ヶ月の間に、“三鷹事件”と“松川事件”が発生し、三事件を合わせて「国鉄三大ミステリー事件」と言われているそう。本作でも三事件が扱われるけれど、メインとなるのはタイトルに冠した“下山事件”。昭和日報の記者・矢代の捜査が興味深く、闇夜に浮かび上がる線路の血痕にゾクゾクした。そして、一個人には介入できない、警察や政治をも巻き込む深い闇。下山の自殺・他殺説だけでなく、捜査員の不可解な人事異動、警視庁公式発表の突然の中止等、あまりにも不自然なことが多すぎる。が、戦後間もないこの時代、国のための犠牲は止む無し、といった思想が残っていてもおかしくない。実際の事件も時効を迎えて終わっているため、本作自体も消化不良な感は否めない。ただ、それも含めて“下山事件”で、映画として残したことに価値がある。
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