ニャキヤマ

異人たちのニャキヤマのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
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山田太一原作でアンドリューヘイ監督最新作。
監督作は「さざなみ」以外観ていて、傾向としては主にマイノリティーの主人公が多く、社会的抑圧や生きづらさを中心に声高ではなく、そっと寄り添って描く作風がとても信頼できて好きな作家です。

そして大林監督の「異人たちとの夏」を再リブート化と聞き心配?でしたが、観賞後はちゃんとアンドリューヘイ印になっていて、監督の手腕の巧みさを感じました。
個人的には終盤のある意味ホラーな展開がどうなっているのかと思っていましたが、「こう来たか!」とオドロキました。

二作とも大きいテーマ(孤独と生きがいについて)は通ずるところはありますが、読後感はかなり違っております。大林版はノスタルジー的な思いに駆られる事に対して、本作は現代的な孤独を描いていると感じました(特にラストの方向性は全く異なっております)。
また時代は(主に同性愛に対する)価値観がアップデートしていて、主人公は「今は時代が違うんだ」と両親に説きますが、それでも孤独がぬぐい切れていない事にすごく共感が出来ました。

主人公を演ずるアンドリュースコットも良かったですが、「アフターサン」の好演も記憶に新しいポールメスカルが大変素晴らしかったです。

監督による「異人たちとの夏」の解釈は、多面的な人の側面を感じることがより浮き彫りになり、とてもためになりました。
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