『異人たちとの夏』を観たすぐ後くらいに、大好きなアンドリューヘイがリメイクすると知って、ずっとずっと楽しみだった。アンドリューヘイの映画になってた。主人公の抱える痛みと寂しさと孤独が何十倍にもなっていた。
徹底的に、ゆっくりと、時間をかけて傷を描く。異様に近いカメラとの距離。アンドリューヘイの痛みそのものだったんじゃないかとまで思わせる。幼い頃の辛い記憶が克服できないまま中年になって、時間は何も解決せず、ただ過ぎるだけ。グロテスクで切ない。
孤独は本人にしかわからない。共有はできない。いっしょに実家に帰ることもできない。目が醒めればいつもの部屋で何も知らない恋人がいる。自分の痛みは自分だけのもの。
『異人たちとの夏』では恋人になり得た相手の女性も最後いなくなっちゃうけど、今作ではそこまではっきりと描かれていなかったのは唯一しんどさが軽減されてた。でもどうせいなくなっちゃうんだろうな。
ふたりはもう死んでしまったのだろうか。
舞台みたいな終わり方だった。