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熱のあとにのSembのレビュー・感想・評価

熱のあとに(2023年製作の映画)
3.0
申し訳ないが大変「苦手」なタイプの映画だった。
出てくる人間が大概メンヘラかサイコパスで(仲野太賀もまともなフリしてサイコパス)、お互いの顔も見ず(顔を見る行為については最終的に意味があるのだが)ぐちぐちと個人の主観による愛を一方通行で縁起臭く喋り続けるし、その内容は一貫しているものの理解に苦しむ。たぶんわかってもらおうと思ってないと思うので、理解不能なキャラクターを作るのは良いものの、それに対して何かを提示できる者はいないまま、もつれていくだけ。さらには独特な芝居がかった台詞回しや不条理劇のような展開にかなり辟易させられる。
熱の「あと」なので、ホラーサスペンスにはならないだろうと思っていたが、コメディなのかドラマなのかよくわからない構成な上に、愛とは何だ?という主題を受け止められる人間がいないので、常に曖昧なまま終わりを迎える。あからさまな湖や猟銃、包丁のような急な映画的装置の登場で、人物の行為だけを繋いでいくつまらないカットの連続に閉口した。画がつまらない。
編集は大川景子さんと聞いたが、「ケイコ目を澄ませて」を編集できた人が、なぜこのような構成にしてしまったのか、謎だ。アート映画なの?商業映画なの?
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