takaori

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章のtakaoriのレビュー・感想・評価

4.3
2024年79本目
劇場29本目

ゼロ年代のセカイ系と決断主義のサブカル文化に、ポスト3.11の文学を悪魔合体させた「地獄の風景詰め合わせよくばりセット」って感じですごかった。一番大きいのは「8.31」が現実世界の「3.11」の意味であることや、仮設住宅の風景からも分かるように、東日本大震災後の日本をフィクションの世界に映した作品ではあるのだが、それ以外にも9.11の同時多発テロ、2005年のJR福知山線脱線事故、アフガンやイラクの戦争、原発事故と放射能の恐怖、ネットにはびこる陰謀論、「日本スゴイ」と右傾化するネトウヨ的メンタリティ、そして原作漫画の時点では想定されていなかったコロナ禍やウクライナ、パレスチナの戦争をも思わせる光景など、これまでテレビやネットで、あるいは実体験で見覚えのある悲劇のスペクタクルが特盛で詰め込まれている。思い返せば95年の阪神大震災に端を発するここ30年ほどの日本社会は、「この世の終わり」の光景が見える化されてきた時代だったように思う。
ストーリーもなかなか強烈だ。予告や映画前半の印象では、巨大災害の後でもたくましく日常を生きる少女たちの姿をポップに描く作品かと思いきや、中盤からの怒涛の展開には圧倒された。ここまでねじれさせておいて、今後どういう落とし所に持っていくのか、全く予想がつかない。5月24日の後編が待ちきれない。
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