黒人解放運動の中心人物となった、マルコムXの生涯を描いた全3幕のオペラ。
オペラといえばソプラノをイメージするが、この作品でのメインはバリトン。
2023-24のMETライブビューイングは全部で9作品あるが、ソプラノ、メゾソプラノ、テノール、バスバリトンなど、最も多様性がある作品となっている。
この作品での進行役を、映画『マルコムX』でマルコムの妻役を演じたアンジェラ・バセットが担当しているのには驚いたし、映画を観て物語の背景を理解していたので、この作品の情景も理解しやすかった。
この作品は、舞台が刑務所であったり、黒人解放運動の物語であるため、比較的華やかな場面が少なく感じたが、マルコムと共にあったジャズやスイングなど、クラシックではない音楽と共に展開されていく声の音の波に酔いしれ、音楽と声のコラボレーションはMETならではで、圧巻だった。
力強いバリトンも良かったが、一番印象に残っているのが高音も響かせるテノールが素晴らしかった。