災害による終末の世界で、ただひとつ残ったアパートとその住民、アパート外の人との軋轢を描いたサバイバルディストピアムービー。偶然とはいえ能登半島地震後に見るには刺激が強すぎる。
『EXIT』(2019)以上に災害発生の原因や規模の大きさはほとんど描かれず、冒頭2分で災害発生、5分で舞台が完成するスピード感。焦点をその舞台で人間がどう動くかに絞っていて◎。
リーダーに住民が扇動されていく様や、人間の選別をするのはトランプの「アメリカファースト」のようでもあるし、隣組のような住民同士の監視は社会主義国家や戦中の日本も想起される。
雰囲気にのまれた集団が高揚して非道に走る姿は『福田村事件』(2023)も記憶に新しい。
ラストのセリフ一発でしっかり映画を締めくくった。この一言のための129分だった。
