HiromiA

52ヘルツのクジラたちのHiromiAのレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
3.4
なぜ安吾は自殺したんだろう。トランスジェンダーであることを公表されたくらいで自殺するというのはあまりにも不自然だった。作中で涙を誘うためのエピソードだとしたらちょっとやり過ぎです。安吾の自殺の理由はいったい何だったんだろう。貴湖の生活資金はどうなっていたんだろう。新名主税からの慰謝料だけというわけではないと思うけど、ちょっとしたパートの仕事だけでいくら田舎と言えども生活できたんだろうか。そういう意味では登場人物の生活感があまり感じられなかった。孤独な鯨だってエサは食べていたよね。原作がどこまで踏み込んでいたのかはわからないけど、映画としての背景描写がほとんどなく、生きて生活している人に見えなかったのが残念だった。まあ愛の母の方は食堂で働いていたし、主税はちゃんとビジネスマンだったけど、安吾も貴湖もどうやって生活の糧を手に入れていたんだろう。血が繋がっていても家族になれない関係ってとっても不幸に感じてしまう。それを乗り越えるには何が必要なんだろう。その結論は導き出されてはいなかったなあ。
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