壮絶な過去を抱え、何もかもを捨てて海辺の街へ来た貴瑚。過去の自分と似た境遇にいたムシと呼ばれる少年に出会う。誰にも届かない52ヘルツの鳴き声に共鳴する人たちによるヒューマンドラマ。
初めて原作を読んでから映画を観た。尺の都合上渋々カットされてるシーンもちらほら、貴瑚や少年の背景が原作より薄く感じてしまった。一方で実写ならではの良さもあって、杉咲花の怪演や鯨と街の風景の作り込みなどはとても良かった。それとアンさん役に志尊淳を選んだのはナイスチョイスだった。中性的な見た目に少し違和感のある口髭、岡田安吾という人間を考えると適役に思える。
アンさんに届かなかった手が時を経て少年に届いたと思うと泣ける。
この世の中に無数に埋もれてるであろう52ヘルツの声、他の誰かの耳にも届きますように。
