ソラ

ある閉ざされた雪の山荘でのソラのレビュー・感想・評価

ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)
3.8
1992年に刊行された東野圭吾の同名原作を実写映画化。初期の若さ溢れる作風で本格ミステリ志向の東野圭吾は大好きだった。

チラシにも予告にも「ミステリー」ではなく、「サスペンス・エンターテイメント」と定義されている辺りが憎い。劇中に出てくるアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』のようにクローズドサークルでの本格ミステリーを期待して行くと肩透かしに合う。

小説版とは異なる箇所もあり映像化することによってのみ為せるシーンもあった。芝居の嗅覚に鋭い人は割と早い段階で大仕掛けに気づけるかも。

全てを知った上でもう一度映画を最初から見ると、軽い設定や演技、妙に用意された小道具、セリフ等劇中に溢れる「違和感」に気づけるはず。

ミステリー映画において、観客はいわゆる「神の視点」を持つ。本作は、これを利用した四重構造を生み出しており独創性を感じた。

劇団水滸の次回作主演のオーディションとして創り出された仮想のクローズドサークルという斬新な発想自体は、素晴らしい。
しかし、動機やディテールの部分にツッコミどころが多い。

一番の問題は、キャストが入れ替わっても成立すること。岡山天音と森川葵以外は誰がやっても良いほど個性がない。
ソラ

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