こんな酷いことを始めちゃった人がいる以上、誰がどうしようもないような状況だけど…少なくとも目の前の人の命は助けたいというすごく当たり前のことがあまりにも難しい。現状に怒るしかなかったインテリリベラルのユリアが行動力を得ていくという筋に収斂する後半にはとても勇気づけられた(インテリリベラルなので)。組織ができることとその限界(それをきちんと説明してくれるところも良い)を飛び越えていくユリアとはまた別に、その場でできる最善のことを遂行するたくさんの隠れた人々がたくさんいるんだろうということを描いたのが唯一の救い。『侍女の物語』で描かれたものはいかにリアルだったかと思う。