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悪は存在しないのno58のレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.9
やっぱり濱口監督の作品はめちゃ面白い…

冒頭の森を見上げて移動する5分以上のシークエンスや、カメラの横移動のカット、自然の中のシーンはあまりに美しくて、思わず息を呑むほどだった。

濱口監督のセリフの応酬は本当に洗練されていて、今回の作品も心にのこるようなセリフがいくつもあった。
いつもの淡々としたセリフ回しが、不穏さを助長させていてこの作品にすごくハマっていた。音楽もとても素晴らしい。

物議を醸したラストは、まるで神話の世界を見ているようだった。
急展開に呆然としたけど、個人的にはとても好き。

そして鹿。映画の中で象徴的に鹿が出てくるとほんとめちゃくちゃ自分の不勉強に嫌気が差す。
聖なるものなのか悪なるものなのか、国や宗教的な立場から捉え方が違ってくる。今回の鹿はなんだったのか。いろいろ考えてしまう。

濱口監督の作品はほんと満足感がすごい。
この作品が待機してるのを知ってから無事に観れたことに感謝したい。
次回作も楽しみにしてます。
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