『死霊館』シリーズや『ヴァチカンのエクソシスト』など、ノリやテンションもさまざまな悪魔祓い映画が増えてきた現代において、元祖『エクソシスト』の「クラシックさ」をしっかりと担保した作品。
エンタメ的に消費されない悪魔の圧倒的恐ろしさと、気骨のあるテーマ性は、流石は本流というところ。
中でも、悪魔がキリスト教やカトリックによらない「幸福を脅かす超自然的な存在」としてアレンジされていたのが興味深い。
日本やアジア圏だと、その呼び名は「悪霊」になるし、イスラム圏だと「ジン」だったりするが、悪魔というやつは一定の普遍性があるらしい。
それに立ち向かうには、「信じる力」が重要。信じる対象は、信仰する宗教の経典だけではなく、人間の真・善・美。良き「生」を送るための価値観こそを信じよう。
テーマに共感はできたものの、やや優等生的に綺麗にまとまりすぎているというか…、もう少し狂気的な部分が欲しかった気もする。