kiki

市子のkikiのネタバレレビュー・内容・結末

市子(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

最初の幼少期で市子が月子と呼ばれてたり、顔が違ってるのに違和感があった。
それは市子が妹の月子として生きていたからで、それが分かるのは後半になってからというのは上手いと思う。(月子として生きていた年代だけ、市子の見た目は月子として描かれている)

市子はサイコパスな殺人犯なんだけど、殺人の部分は殆ど見せないで、市子の心情に集中して描いているのが新しい。
それによって普通ならサスペンスになる内容が、ヒューマンドラマになっているという。

物語は他者から見た市子という視点で進んでいくから、一緒に市子の謎を解き明かしていく感覚になれる。
これが市子の目線だったら、得体の知れなさが薄まって普通の作品になっていたと思う。

市子が口ずさむ童話の「虹」
これが序盤と終盤で、聴き手の受け取り方が変わるのも凄い。
歌詞を最後の市子のシーンと重ねると、そこで初めて市子の気持ちに共感できるようになっている。
そこから母親の「幸せな時もあったのよ」のセリフを重ねるように、エンドロールでは「虹」の後に、幸せだった家庭と思われる会話だけが流れる。

最初から最後まで、これ以外にないってくらい完璧な構成だと思う。
そしてなにより、杉咲花の演技力が凄い!
すっぴん(と思われる)なのに妙な色気があるし、高校生〜30手前という年齢の幅を違和感なく演じてるし、無表情なのに感情を感じるし、泣くシーンも何パターンもあるし。
この映画は杉咲花だから成功したと思う。す
kiki

kiki