川辺市子は、恋人の長谷川からプロポーズを受けた翌日、失踪した。縁故ある人々を訪ね市子の行方を追う長谷川は、彼女がかつて別の名前を名乗っていたことを知る。
無邪気に未来を語る彼女の周囲の人々と、今を生きることに必死な市子と。どこまでも相容れない哀しみにずっと胸が苦しかった。人並みの、ささやかな幸せが欲しいだけなのにね。
杉咲花さんの、何もかも諦めたような空虚な表情に引き込まれます。
民法の時代錯誤な条文や、筋ジストロフィーという難病それ自体が、ミステリーの謎解き部分のために都合よく利用されてしまった感も。
社会福祉の網からあまりに簡単にこぼれ落ちてしまうのがリアリティに欠けると思ったけど、現実に、福祉に繋がれず苦しんでいる人はいるわけで。これは傲慢な感想かなあ。
