東京国際映画祭学生応援団

父ありき 4Kデジタル修復版の東京国際映画祭学生応援団のレビュー・感想・評価

父ありき 4Kデジタル修復版(1942年製作の映画)
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長らくオリジナル版のフィルムが見つかっていなかったものの、今年復元作業が行われたことにより完成した、小津安二郎監督の戦時中唯一の作品です。

あらすじは、妻に先立たれた父親が、一人息子を立派に育てるために、息子と離れて働き始めるなるが、息子は父と二人で暮らすことを望んでおり…というお話です。

オープニングの音楽が流れ始めた瞬間、私は映画館でこの作品を鑑賞出来たことに感動し、涙が溢れました。
そして、小津作品の常連である笠智衆演じる父親の、息子を立派に育てる責務を果たすために懸命に働く姿には、思わず自分の父親や、祖父の姿を重ねてしまいました。
父と息子という普遍的な関係性を描きながらも、その関係性は、戦時中という時代背景からも大きな影響を受けていて、二人が一緒に暮らせた時間は、息子が徴兵される直前の僅か数日だけだったことに、やるせなさを感じました。
ラストシーンには、これまでのフィルムでは聴くことのできなかった音楽が流れ、またもや泣いてしまいました。

ぜひ劇場の大スクリーンで、この感動を味わっていただければと思います。(学生応援団)
#学生応援団 #TIFF #東京国際映画祭