股関節がなく大腿骨が短い、ということは股関節の辺りからすぐ膝になっているような状態だ。この監督兼主人公のエラは両足がそうなっていて、極めて珍しい症例だそう。大体は片足だけが短いという発症の仕方をするそうで、映画にも専門医が登場する。
エラは自分と同じ症状の人を探す。また、彼女はアプリで出会った恋人との間で妊娠がわかり、危険性があったが出産を決める。このただ寄り添っているだけの若いカレシが良かった。朗らかで、全然自己主張しなくて。
難しいなあと思ったのは、この障害の治療について。大体は幼児期から手術を繰り返し、ちょっとずつ基本的な位置に戻し、成長に合わせてまた手術をする、という大変な苦労を伴う。人によっては捻じれすぎているなどの理由で、本来の肉体の部位を諦め、切断して義足にしたりすることもある。
エラは年齢的にも手術は難しいと判断されるし、今の自分に違和感はないのに、なぜ正常といわれる人に合わせなければいけないのかと疑問を呈する。でも、エラの意見も、子どもを通常の人と同じにしたいと思う親の気持ちもわかる。それは個々人でどう自己を受け入れるかの問題だと思わざるを得なかった。興味深い映画だった。