ぶみ

TOKYO, I LOVE YOUのぶみのレビュー・感想・評価

TOKYO, I LOVE YOU(2023年製作の映画)
1.0
※本作品の点数は、例により私の拘りポイントによるものだけではなく、名実ともに星1つ(もしそれ以下があるのならば0.5でも全く問題なし)です。

きっと、この映画を観た誰もが「TOKYO , I LOVE YOU」と叫びたくなる。

中島央監督、脚本、山下幸輝主演によるオムニバス。
東京を舞台に、恋人、親子、親友による三つの物語を描く。
物語は、東京タワー編としてVRの世界にハマり込む男性と幼馴染の女性を、新宿編として妻と死別し、キッチンカーで生計を立てる父親と映画監督を目指す娘を、お台場編として脳腫瘍により余命を告げられた親友のため手術費用を工面しようとする幼馴染の姿を描く三本で構成されており、一応ラストには、それなりに登場人物がクロスオーバーするものの、基本独立したものとなっている。
ただ、結論から言うと、まがいなりにも全国で上映するレベルの作品には全く至っていないというのが正直な感想。
まずは大前提として東京を舞台としておきながら、その地の利を生かしたような設定になっていないことを筆頭に、若手俳優を起用するのは全く問題ないものの、演技力が足りていないのか、はたまたそれも演出なのかはわからないが、台詞を喋らされている感がありありであると同時に、感情の隅々まで全て言葉として説明してくれるため、歌わないミュージカルをひたすら見せられているようであったりと、まるで学園祭レベル。
他にも、例えば三本目では、山下演じる主人公がダンサーという設定なのだが、肝心のダンスのシーンがカット割が多過ぎて、結局上手いのか下手なのかが全くわからないというのは致命的であるし、出てくる全てのキャラクターがザ・テンプレといったものばかりで、見ているこちらが恥ずかしくなってきたところ。
では、肝心の物語はというと、比較的短めな一本目と二本目は何とかそれなりにまとまっていたものの(それでも決して褒められたものではないが)、最も長時間だった三本目は、リアリティの欠片もないし、お金に対する価値を冒涜しているのではないかと思い、怒りすら感じたもの。
加えて、三本目で主人公等六人が、三列シートのミニバンで移動するシーンがあり、そこでは全員シートベルトを装着していたため、車社会に対するリテラシーがあるだけ救いかと思っていたら、終盤にあるタクシーの後席では装着していなかったため、結局は演技や演出以前にそんなレベルかと落胆したとともに、本作品のようなまだまだ無名とも言える若手俳優陣が中心となる場合、さりげなく脇を固めてくれるベテラン陣がいるものであり、そこを担ったのがテリー伊藤と田中美里だったのだが、これもまた力不足だったのは些か残念。
演技力は差し引いたとしても、演出、脚本とも作品として呼べるレベルには程遠く、いくら展開がつまらなくても途中で席を立とうと思ったことは一度もない私が、直視するのが痛々しくも恥ずかしくもあったことから、初めて途中で退場しても良いかなと感じた貴重な作品であるとともに、入場特典でクリアファイルをもらったところで評価が上がることはなく、私がスクリーンで観た中ではぶっちぎりのワーストで、同じ星1つとした作品に対して失礼となるほど限りなく0点に近い超残念な一作。

やっぱり東京は最高だ。
ぶみ

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