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『紫の家の物語』に投稿された感想・評価

CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

2.8
【ベイルートの今】
山形国際ドキュメンタリー映画祭に来た。4年ぶりの現地開催なので、気合が入る。初手から3時間クラスの大作『紫の家の物語』を観た。

本作はイラク出身監督アッバース・ファーディルがレバノンに住むある芸術家に迫った作品だ。彼は5時間半に及ぶ『祖国 イラク零年』で知られる監督である。18歳の時にイラクから離れた監督が15年ぶりに故郷へ戻ってきて、戦火に晒される日常をありのまま撮った作品だ。フランスで話題となりギョーム・ブラックはカイエ・デュ・シネマにて2010年代ベスト映画の1本として本作を選んだ。

アッバース・ファーディルの密着取材型の撮影は今回も踏襲されている。ベイルート郊外に紫の家を構えているある芸術家を撮る。彼女は絵を描き、ベイルートの画廊に売り出すが、2020年から始まったコロナ禍にベイルート港爆発事故といった社会事情により行き詰まってしまう。街ではデモや暴動が多いらしく、まともに商売ができない。インターネット販売もできない状態で完全に行き詰まってしまう。そんな彼女のアンニュイな生活を猫と共に描いていく。興味深いのは隣人の婆さんが語りかける場面にある。彼女の生活は政情不安で停滞している。だが、おばあちゃんはこうしたものをポジティブに捉えようとしており、大きな困難を前に宗教や人種を超えて団結が生まれることを豪語するのである。

また、本作では猫が頻繁に登場する。ドキュメンタリーにおける猫といえば、想田和弘作品を思い浮かべるが、こちらの猫は凶暴である。鳥やネズミ、蛇といった小動物と戯れあいながらボロボロに解体してしまうところが明確に映し出されるのだ。また、子どももYouTubeだったらBANされてしまうであろう、蛇の頭を木の棒ですり潰して遊ぶ場面が何度も捉えられる。

正直、この描写が蛇足な気がして3時間の必要性を感じることができなかった。三部構成になっているのだが、この猫を中心とする日常描写が章立てにノイズを与えてしまって、必要性を薄めてしまったからだ。映像は綺麗であり、例の爆破事故後のベイルートにおける温度感を知れたのは学びであったが、やるならもっと踏み込んでほしかった。
にく

にくの感想・評価

4.5
A・ファーディル『紫の家の物語』(22)YIDFFコンペ。戦禍を逃れた、だがコロナ禍に見舞われているレバノン南部の「紫の家」。当作は家主たる女画家と隣家の少年の関係を起点に、当地周辺の過去と現在、現実と虚構を行きつ戻りつする。開幕から惜し気なく示される風景ショットは最早「彼岸」としてある。
 これはフィクションとドキュメンタリーの区別など端から無視した作品だ。女画家も少年も明らかに演技をしており、両者による会話も細かいカット割によって劇化される。スクリーンという大枠の中に、額縁、張キャンバス、テレビといった多数のフレームが導入されて、そこへ絵画的映画的引用がなされる。
 本来、死の影が色濃いはず土地を、女画家とその背後にいる監督が描き変えて(再フレーミングを試みて)いるといえば聞こえはいいだろうか。だが、若い女(監督の実生活上の妻)の生命力に大地の再生を託す老監督という構図が透けて見えている。ヌーヴェル・ヴァーグ的な作家の正直さではあるかもしれない。
 ただこの映画が、監督の妻の横顔(プロフィール)を執拗に追い続けていたのは確かで、それは偶然なるかな、本映画祭のポスター(女性のプロフィール)のデザインと共鳴し、ということは山形県の形がそこに重なり合うという、個人的には最も印象深い作品となりました。本作の猫の扱いについてはまたいつか。
 果たして、ヤマガタは何を見つめるのか。