ねまる

包帯クラブのねまるのレビュー・感想・評価

包帯クラブ(2007年製作の映画)
3.7
夜思い出す悲しい思い出、人生で何百回も思い出す悪い記憶、包帯を巻くことでそんな悪夢から少しは逃げ出せるなら、包帯クラブは必要だ。

ほんのちょっとの誰かへの善意や頑張りが、顔も知らない他人を傷つけていることがある。自分がバイトで頑張ったことで若い人に変えられてしまった年上の女性の喩え。良いことをすれば、悪いことも起こる世の中で、それでも希望があると信じる高校生たちの物語。

生きてきたなかで獲得してきた優しさと
失った優しさのどっちの方が多いんだろう…
本人がそう言うから、って思い込むことで、考えないようにしている誰かの気持ちってあるよね。
それは美談でもあり、口当たりは甘い。

だからこそ、ディノのいう、
「誰かの痛みをみんなが本当の意味で知ったら、世界は良くなると思う」は真実でもある。
知ることで出来る優しさが増えていくって、私は信じたいんだ。

ディノだって自分の痛みは見えてない。
「お前と違って、俺は日々進歩しとんねん。」
どうして、絶望してると思ってたんだろう。重い障害を負ったからって不幸と決めつけたんだろう。

柳楽優弥は是枝さん生まれだから、ナチュラルに長けて出てきたはずだけど、アクの強い高校生も難なく演じるのね。笑いどころも、変なキャラも、それでいて時々見せる暗い目も流石。

求める限り生まれ続ける希望。
求めるから希望は与えられるし、求める限りずっとそこには希望があると信じたい。
逆上がりの練習をする男の子の映像が、主人公がたどり着いたこの答えにぴったりだった。
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