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AKIRA 4Kリマスター版のよのレビュー・感想・評価

AKIRA 4Kリマスター版(1988年製作の映画)
5.0
もし人に天命というものがあるならば。
「悔しいってのがどういう気持ちか分かったかよ!」
この台詞をこの映画のように描く、それだけのために生きた人がいるんじゃないか。そして自分の人生に満足しながら死んだんじゃないか。
そう思わされるくらい素晴らしいシーンだった。心に残った。映画館を出たとき、観客の男の子たちが真似していた。そりゃそうだよな、と思った。私の脳内にだって、寝て起きてもまだその台詞がこだましていた。
一生わすれないんじゃないだろうか。

なんというか、減点要素がない作品ではないのだ。
ただ、ほんとうに力のあるなにかを持っていて、それがあまりにも人々の心に刺さるものだから、減点要素なんてチンケな土俵で語る気が失せてしまう。そういう類のものだ。
それを本物と呼ぶのだ、と私は知っている。
でも、どうやって生み出されるのかは知らない。
ただ、この映画を傑作たらしめている音楽ーーこれのために、大友克洋が山城祥二に三顧の礼を行ったことは、留意しておくべきかもしれない。
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