CharlieZG

月のCharlieZGのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.1
実際の障害者施設殺傷事件をモチーフにした辺見庸著小説の映画化。

社会から隔絶した森の中にある障害者施設「三日月園」。
そこで働くことになった作家堂島洋子と夫昌平と同僚さとくんと坪内陽子の4人の目を通して、命とは心とは生きるとはを問いかける問題作。

障害があると分かった懐妊子を堕胎するのと、意思表示できない障害者に手をかけるのと何が違うのか?

中盤の洋子とさとくんが対峙する場面が強烈過ぎて身につまされる思いがした。
勿論、人を殺めることと “心がない” 判断基準は肯定しないが、さとくんの言い分にも一理あると思った。
それは社会構造が生産性を求める一方向にしか向いていないからであり、そこからはみ出す者は不要とされる資本主義社会の大きな欠陥があるからだと思う。
暗部を隠して綺麗事を並べるのは ”善意のフリをした悪意” という陽子の罵りも強烈に響いて来た。
じゃあ明日から自分は汚い部分にも向き合えるのかと問うたところで答える勇気もない。

命の尊厳の境目はどこなのか?
意思表示しない命は不要なのか?
答えは出せずにいる。

宮沢、オダギリ、磯村、二階堂、メイン4人の演技が素晴らし過ぎる。
施設の患者は本物の入所者に出演してもらっただけあり超リアル。
全体的に明かりが少なく暗い演出、空に浮かぶ月に照らされているけど、社会の中で隠したい暗部を照らす月はないからこそ、多くの人達に知ってもらうため月を作らねば・・・そう聞こえて来た。
素晴らしかった❗️


監督 石井裕也

キャスト
宮沢りえ
二階堂ふみ
磯村勇斗
オダギリジョー
長井恵里
大塚ヒロタ
笠原秀幸
板谷由夏
モロ師岡
鶴見辰吾
原日出子
高畑淳子
CharlieZG

CharlieZG