10代半ばの中学生と、一回り年上のスターとの恋。いまの言葉で言えば、グルーミング以外の何者でもないとも思う一方で、そんな恋にも「本気」はやはり存在する。序盤のプリシラの本気由来の表情を捉えただけでも、じゅうぶんに観る価値がある作品だと主張したくなる。
ケイリー・スピーニーのようなタイプの俳優の輝きに触れるだけでも新鮮だが、その溌剌さ序盤を過ぎると一気に失われてしまう。監督が、こんな物議を醸しそうな題材をなぜ選んだかの問いに対する答えには、出産直前のプリシラが自宅を出る前に行うある行為にヒントがあるように思える。
ラスト、再びプリシラの笑顔に会える。ソフィア・コッポラの作品は、登場時からずっとリアルタイムで追っている者として、近年は半ば意地で観ているところもあるのだけど、結局毎回、観てよかったと思わされる。
