"アイドルのアイドルをやめる物語"
ここで言う「アイドル」とは、熱狂的なファンを世界中にもつスーパースターのエルヴィスを指すとともに、多分に「偶像」の意味合いをもつ。
エルヴィスのアイドル(偶像)こそプリシラではなかったのか。
14歳でエルヴィスに見そめられ、恋に落ち、妻となって結婚生活を送る。
そのプリシラの10年を描く。
ソフィア・コッポラらしい雰囲気はあるものの、あくまでプリシラの自伝を尊重し、彼女との対話を重ねて作り上げたという本作。
エルヴィスのスーパースター振りというより、プリシラの視点で二人の関係性に重点が置かれて描かれている。
派手そうに見えて地味な印象を受けるのもそのためだ。
誰もが羨むスーパースターとの恋と結婚生活。
恋愛感情の絶頂は長くは続かず、やがて孤独や嫉妬に苛まれる。
どんなに相手がスーパースターでも、彼女を幸せにすることはできなかった。
どんなにお金があって、裕福な暮らしをしていてもだ。
エルヴィス自身もアイドルであり続けることに嫌気が差して、まともな精神状態ではなくなり、ドラッグに溺れていく...
そして、プリシラは決心する。
全編を通して1960年前後のモードやファッションが、とにかく素敵だった。
プリシラ役のケイリー・スピーニーはとてもキュートでずっと眼福。
どの衣装も似合っていた。
(浮いてるのもあったけど)
彼女のファッションに注目するだけでも楽しめるんじゃないかな。
スーパースターの妻になったプリシラを通して、人にとって何が幸せなのかを問いかける佳作。
以前公開の『エルヴィス』と対比して観ると、視点が異なり、興味深さと味わいが増すと思います。
スーパースターも楽じゃない。
かつ、スーパースターのパートナーも楽じゃないよねえ。
余談
エンディングで流れる曲
エルヴィスのバラード??
と思ったら、ホイットニーヒューストンで有名な"I will always love you"だった。
(歌は原曲のドリー・パートンさんなのかな)
その歌詞が、プリシラの心境そのものなんじゃないの⁉︎と思えて、ちょっとびっくりしてしまった
いろいろあるんだろうけどエルヴィスの歌も聴きたかったな
ケイリー・スピーニーはヴェネチア国際映画祭で主演女優賞とったんですね!パチパチ
これから注目していこうと思います