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ポッド・ジェネレーションのaskQのレビュー・感想・評価

ポッド・ジェネレーション(2023年製作の映画)
4.0
「産む」ことを女性のものではなくしたら、また違う夫婦や家族の関係性が構築されるのかもしれない。。。そんな風に思えた斬新な近未来SF作品。

体外で赤ちゃんを育てるという、なんとも画期的な発想。女性が妊娠中の体調やメンタル不良に悩まされる必要もないし、仕事に穴を開けることもない。このシステムは、昔から根強くある「お腹を痛めて産んでこそ母性が芽生える」という、何の根拠もない根性論への強烈なアンチテーゼだなと感じた。

「ナイスアイデア!」と思う反面、これはこれで様々な問題が浮上する…。主人公レイチェルは大企業に勤めていて、昇格の告知といっしょに“ポッド”で子どもを持つ選択肢を提示される(企業としては、産休で優秀な人材に長期休業されると困るからだろう)。でも、いざポッドと共に出勤すると、「生産性が落ちてるんじゃないか」「注意散漫じゃないか」と咎められる。このあたり、結局キャリアと子育ての両立って難しいんかな…と不穏な気持ちにさせられた。

夫のアルヴィーは植物学者で、最初は自然妊娠を願いポッドに懐疑的ながらも、次第に愛情が湧くように。ここ、男性の妊娠期への自発的な介入が描かれててよいなと感じた。

作品の舞台は、人間のメンタルヘルスさえもAIが管理する近未来社会。セラピストは、目だけの超リアリストなAI。ビシバシ意見をもらえてありがたい反面、「サブスク会員にならない?」と勧めてきたり、結局人の利潤が絡んでるなぁとハッと我に帰る。

自宅出産を希望するも、「ポッドの数が足りないから、予定日より早いけどオキシトシンで“出産”を誘発する。だから施設で預かる」と言われたり…。結局、“子ども”は誰のもの?それにまつわる社会のシステムとは?幸せとは?と、たくさんの問題について考えさせられた。
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