"ヴァーヴ"
隠れた名作かも⁉︎
ジャンルとしてはSFコメディなのだろうか？
一見、よくあるボーイミーツガール的な作品なのかと思いきや、現代社会への風刺が効いていて、色々なメタファーが詰め込まれている作品だった。
舞台は宇宙人「ヴァーヴ」によって征服された地球。富裕層は空中に浮遊する高級住宅街に引っ越しし、貧乏人は地上にとり残される時代。
そんな中、高校生の主人公アダムは転校生のクロエと意気投合。恋人同士となった2人は、宇宙人の間で人間の恋愛が珍しいものであることを知り、家族の生活のためにカップルYouTuberとなり、交際の模様をライブ配信することに…。
SFコメディだけど、その裏にリアルな怖さを感じる本作。
保守的で全体主義的な考えの宇宙人によって支配された世界では、個人の自由は制限され、貧富の差も広がるばかり。
武力ではなく経済的に支配されて生かされている構図が面白く、支配層によって搾取される貧乏人達という関係は、まさに"大国に侵略されるとこんな風になるよ"というシミュレーションのように感じる。
日本人としては、少し前までは本作でいう宇宙人側だったが、もう国力はガタ落ち。いまや支配される側の方がリアルに思えてくる。
描かれていることはブラックコメディなのだろうけど、ちょっと笑えない。
