ぽち

突入せよ!「あさま山荘」事件のぽちのレビュー・感想・評価

3.5
観ごたえのあるドラマ。

最初に「事実とは異なります」というテロップが出るのも好感が持てるが、調べてみるとかなり事実に近い形で映画化されている。

原作が今作の主人公である佐々淳行の書いた『連合赤軍「あさま山荘」事件』なので、事実に近づいたのかもしれない。

でもその弊害として、普通のドラマなら簡略化していく登場人物の多さや、各キャラの関係などが複雑で、完全に把握するのが一回観ただけでは難しいところか。
でも、大きく長野県警と警視庁の板挟みで奮闘していると思って見るとそれほどストレスにはならない。

それに第一目標である「人質救出」が明確なので、ラストのシーンは感動できる。

そしてこれも原作のおかげだと思うが、完全に警察側にフォーカスした描き方は素晴らしく、犯人側はバッサリ切ったのは英断だろう。

当時の記憶がうっすらとあるのでいっそう入り込めるドラマだった。

でも、長野県警の無能ぶりがかなりデフォルメされていてちょっとかわいそうだったかな。
実際の事件を扱った「実話ドラマ」としてはかなりレベルの高い作品だろう。



余談。
なぜ人質を利用しなかったのか不思議じゃないですか?
昔調べたことがあり、とても興味深かったのが主犯の坂口弘の人格。

wikiによれば
『坂口は人質に対し、「人質ではなく、助けを求めた山荘の管理人」という説明を行い、以後この考えに縛られ人質を利用する考えを放棄せざるを得なくなった』
ということらしい。

でもあの卑劣で残酷な「山岳ベース事件」の主犯である坂口が、人質と約束したから利用しなかったってギャップが、実に人間臭い。
まるで「約束は絶対守る詐欺師」って感じで、矛盾している。そこに人間の面白さがあるのだろう。

あと、あの鉄球。
鉄球で壊される山荘の映像は、まだ幼かった私でも覚えているほどのインパクト。
でも、記憶の中だとあれの5倍は大きく感じた。2メートルぐらいある大きな鉄の球だったと思っていたが、あんなに小さかったんだ。

鉄球クレーンを提供した長野市内の建設会社「株式会社白田組」に残されているそうである。
是非、お宝探偵団に出してほしいなぁ。
ぽち

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