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さよなら ほやマンのKUBOのレビュー・感想・評価

さよなら ほやマン(2023年製作の映画)
4.0
これは今年一番の大穴かもしれない!

今日は『さよなら、ほやマン』マスコミ試写会。

チラシのビジュアル以外、前情報を全く入れずに鑑賞したのだが、良い意味で、すごい良い意味で予想と違った。

ほや漁、訳ありのマンガ家、YouTuber、そして「3.11」。これだけじゃ、何が何だかわからないだろうが、これらを全部詰め込んで、笑いも涙も感動も全部のせ! しかもポップなエンターテイメントに仕上げてある。とても長編1作目の作品とは思えない素晴らしい出来だ。

ほや漁で生計を立て、島で暮らしていたアキラとシゲルの兄弟の平和な日常を、突然現れた青い髪の女がぶち壊す。

「この家、1000万で売ってくれない?」

なんだ?この女???

平穏な日々に現れた一見モンスターのような異物が、震災と島に縛られたアキラの呪縛を解き放ち、またアキラとシゲルとの生活が、美晴の閉ざされた心を再び開く。

主人公アキラを演じたアフロ、マンガ家美晴を演じた呉城久美、共に初主演、初ヒロインということだが、ものすごい熱演!

監督の庄司輝秋も、これが初の長編映画とは思えない、素晴らしい演出、巧みな脚本だ。特に3人の生活はポップに描きつつ、それぞれが過去と対峙するリアルとのバランスが最高で、重厚なテーマも内包しつつ、あくまでもエンターテイメントである点が素晴らしい。

「津波で流された家族がまだ見つかっていない人は、海のものが食べられない」という事実。石巻出身の庄司監督ご本人の体験に基づいているそうだが、初めて知った。

おそらく、ポスタービジュアルやチラシのコピーだけでは、この映画の良さは伝えきれない。宣伝がすごい難しい映画だと思う。

だから声を大にして言うけど、

『さよなら、ほやマン』素晴らしいよ! オススメします!

*『さよなら、ほやマン』は11月3日、新宿ピカデリー他、全国公開です。
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