にく

怪物の木こりのにくのレビュー・感想・評価

怪物の木こり(2023年製作の映画)
1.0
三池崇史『怪物の木こり』(23)。孤児院出身者を主人公に据え、中世ヨーロッパ風世界を舞台とする、かつ「怪物」に纏わる絵本をモチーフとしている辺り、完全に作中絵本『なまえのないかいぶつ』を中心に話を作った浦沢直樹『MONSTER』に似ている。連続殺人者の謂として「木こり」を今更持出すのも陳腐。
 亀梨和也を主役とする以上、ジャニーズ問題はどこまで意識されているのだろう。子供達を誘拐して虐待・殺害する「源」サイコパスとしての「親」。孤児と化した「弟」を殺したいほど憎むと同時に愛する(自身も孤児たる)「兄」。彼らを裁けるのは彼らを見守っているつもりの「女達」(ファン)という訳だ。
 『怪物の木こり』といい、『法廷遊戯』といい(他にも『約束のネバーランド』とか「THE WITCH 魔女」シリーズとか色々あるけど)、孤児院出身者を「異常」と「診断」する紋切型からこの時代にあって尚、逃れられていない。少なくとも邦画では、孤児院は実情と関係のない凡庸なメタファーとしか見えない。
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