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グアイウ 地下鉄の怪物のドントのレビュー・感想・評価

グアイウ 地下鉄の怪物(2023年製作の映画)
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 2023年。調子の悪かった地下鉄が暴走、工事が中止された路線へと侵入してしまう。乗客が困っていると頭部が硬そうな巨大トカゲが出現しちゃうシンガポール産モンスターパニック映画。
 交通事故で心に傷を持つ母子、父親とのすれ違いに悩む少女、ナイスなタフガイ、ワガママなオッサン、「どうなってるんだ!」と困る鉄道管理部と理解のない上層部……という定石を押さえて、「怪物退治」の物語の定型をなぞって進み、なんとまぁ本編75分弱で終わる爆速コンパクト映画である。この短さは偉い。トカゲの背景をさっさと済ませて深入りしないあたりも好ましい。
 のだが、これはさすがに定石、定型、典型的なモノをなぞる「だけ」すぎるのではなかろうか。キャラとしての役割を終えた人物はハイッ退場!とやられるし、道具立ても筋立ても、物語というよりはノルマ回収といった感じがある。
 深みを出せとか人間が描けていないとは言わないし、「デンデン走ってくるのはいいね!」とか「オッ、壁も登れるんだね!」とかよさもあるけれども、味気ない。旨味がないのだ。水でほぐすとすぐ食べれるソバを醤油だけで食べてるような感じ。トカゲが出てすぐに乗客が4人になっちゃうスボマリ感もどうかなと思う。やっぱり7人くらい残ってひとりずつ食われるような怖さが欲しい。
 あと何よりもね、「暴」が少ないね。オッサンのお腹の傷やら窓に飛び散る血だけじゃいかにも寂しい。乗客食べ放題シーンとかトカゲにビターン!されるシーンとか、地獄の様相をガッツリ観たいわけですよ。なんかしらの規制があるのやもしれんけどこちらとしては第一にでっかいトカゲが大暴れを観たいわけであってね。まぁどうかな、と思ったですよ。短いってだけなのも考えものだな、と珍しくそう考えたりしました。おわり。
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