Kientopp552

ザ・クリエイター/創造者のKientopp552のレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
2.0
 少なくとも初めの方のストーリー設定は、どこかで観たような気がする。あれは、ひょっとして、「ターミネーター」であろうか。人類対マシーンの「生存闘争」、ロスアンジェルスでの核爆発、デストピアのセッティング、どれをとっても符合する。これでは、「創造者」ならぬ、「模倣者」である。
 では、あの、St.スピルバーグの映画『A.I.』ではどうであろうか。この映画では、確かに、「マシーン」ではなく、humanoidの容姿をしたA.I.が主人公である。しかも、子供の姿をしたロボットで、そうであれば、本作の主人公であるAlfieと似てはいなくない。
 これに加えて、『エリジウム』は、どうであろう?マット・デイモン主演のこの作品では、荒廃した地球と、その軌道を回るスーペース・コロニー『エリジウム』がテーマとなっている。デストピアたる地球に対する、ユートピアとしての、空中に浮く「エリジウム」というセッティングは、これまた、本作の終盤に向けてのエピソード、主人公ジョシュアと、彼の妻マヤとの「幸せ」の再会と重なる。
 という訳で、中々「創造者」としてのオリジナリティーが感じられない本作であるが、一つ意外なのは、「ニュー・アジア」と「USA」との対立である。transhumanの、ロボットに対して寛容なニュー・アジア人と、A.I.をあくまでの敵視し、これを殲滅しようとする、人類を「代表する」USAとの対立項である。その帰結として、近代兵器を駆使して、ニュー・アジアに進攻する人類、すなわち、USAは、まるで、ヴェトナム戦争時代のアメリカのように見え、ロボットを捕えては、これを処刑するUSA兵は、ヴェトナム戦争時における、アメリカ兵の、ヴェトナム民間人への戦争犯罪を思い起こさせる。この意味で、アメリカの配給会社「二十世紀スタジオ」の度量の広さに好感が持てるのは、筆者だけであろうか。
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