元バレーボール選手でオリンピック出場経歴を持つ黒人女性サバナ・リーフの長編監督デビュー作。A24作品。素晴らしかった。
写真スタジオで働きながら、幼い娘と息子を取り戻すべく、薬物更生プログラムに参加しているシングルマザーで妊娠中のジア(ティア・ノーモア ※この写真の右側)の物語。
養護施設に預けられた娘シェイナと息子トレイとジアが会えるのは、監視環境での週に一度一時間だけ。一日でも早く子供を取り戻したいものの、更新プログラムをすべて終え、養育環境が整ったと判断されない限り、子供と暮らすことは出来ないのだ。
ジアの置かれた環境や背景、子供たちの父親の情報などは明らかにされないまま彼女の苦悩の日々が描かれますが、ソーシャルワーカーのミス・カルメンの元に集まる女性たち(多くが妊娠中の黒人女性)が一人づつカメラに向かって語るシーンから、ジアを含む黒人女性たちが置かれた環境や、彼女たちの母から引き継いだネガティブスパイラルから抜け出せない状況が見て取れます。
ジアは妹とアパートをシェアしていて、仕事の時間以外は、昔のバスケ仲間の友人トリーナや、ジアをママと呼び慕う近所のメルという女の子(母と暮らしていたが薬物乱用で亡くなってしまった)と過ごしてますが、日に日にお腹が大きくなり、3人目の出産が近づくにつれ、里子に出すべきではないかと心が揺れ、ミス・カルメンに相談し・・・
ラッパーのティア・ノーモアを始めとする苦悩を抱える女性たち、写真スタジオに訪れる客たちなどのキャスティングと、彼らを捉えるカメラが素晴らしい。
寂しくて電話してきた息子トレイに電話口で聴かせる「Then You Can Tell Me Goodbye(Bettye Swann)」♪
ジアが2人に面会に行く時に買った3つの指輪を付けて合体させるシーン、トレイが考えた物語をジアに話すシーンなど、泣けてきます。
タイトルの「Earth Mama」はジアの幻覚?シーンや、ラストシーンともリンクしますが、様々な事情で子供と離れ離れになったりしても消えることのない、母・母性の偉大さを感じさせる言葉と感じます。