リミナ

五等分の花嫁∽のリミナのレビュー・感想・評価

五等分の花嫁∽(2023年製作の映画)
3.7
未映像化だった原作エピソードを描くTVスペシャル。

本シリーズはこれまで制作会社が度々変更されており、手塚プロダクション→バイブリーアニメーションスタジオを経て、本作ではシャフトとなった。シャフト自体は第1期の第11話においてもグロスを担当していたことがある。今回はこの制作会社の変更が功を奏しており、これまでとは明らかに映像の作りが良い意味で異なる。

OPEDも新規で用意されており、OPは近年のシャフト作品におけるアクション作画で存在感抜群の長田寛人氏、EDはこれまで同様に梅木葵氏が続投して担当。特に前者はOP初絵コンテ・演出ながら五つ子の個性や劇場公開もされること、現実では既に結末までアニメ化されていることを踏まつつテンポも動きも気持ちがいい映像に。

本編ではシャフトらしさがありつつ、それが作品の魅力を引き出している。ギャグパートではイメージBGでテイストの異なる短尺カットを挟むテンポの良さ、パースの効いた構図や全影作画など、これまでは目にすることがなかった画が映るだけで嬉しくなってくる。決めのカットでは原作寄りの絵柄に色彩や撮影処理に変化をつけてより印象的なものに。他には四葉を象徴するアイテムの一つであるブランコの鎖が陰影がくっきりとした作画で描かれていたのが目を引く。ブランコに揺られる反復運動を演出に取り込んでいたのも良かった。

本シリーズがアニメ化されるのは恐らくこれで最後だと思われるが、当初は作画・演出ともに不満が多かっただけに本作はちょっと泣きそうになってしまうくらいに込み上げるものがあった。
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