実話ベースのフィクション。シチリアの乾いた青空を背景に写し込んだ少年たちの悲恋。同性愛を蔑み嫌悪する人々の言動は容赦なく、1980年代のローカルな気風が突き刺さる。ニーノが叔父や甥っ子と行くハンティングのシーンが最後の最後まで不穏な空気を漂わせていた。自分の気持ちを偽って暮らす母親とは対照的に、自分に正直になり堂々と生きていこうとするジャンニの逞しさがとても眩しく映った。2人がお祭り時に打ち上げた花火を真下から見上げる場面は美しく、儚くも爽快で格別。まるで世界に向けて自分たちの気持ちを高らかに轟かすかのようで素晴らしかった。
