NAO141

ボーン・スプレマシーのNAO141のレビュー・感想・評価

ボーン・スプレマシー(2004年製作の映画)
3.8
もともと続編は製作される予定がなかったが、前作が興行的にも批評的にも成功を収めたことから製作が決定した本作。
結果的には全米だけでも1億7000万ドル超えの興行収入で前作を上回り、全世界トータルでも2億9000万ドル超え。7500万ドルというアクション大作としては控えめな製作費を考えると、本作もヒットしたと言えるだろう。

ヒット作の続編でありながら、製作までには色々あって、本作の製作スタッフは一新されており、監督も交代している。新しい監督はドキュメンタリー出身のポール・グリーングラス。ジャーナリストから映画監督に転身したというだけあって、『ユナイテッド93』や『キャプテン・フィリップス』のような社会派作品で有名だが、本作でアクション映画監督のイメージも定着したようである。

本作、とにかくテンポが早い!このテンポの早さに最も大きく寄与しているのは、やはり監督の売りであるカット割りの細かさだろうね。公開当時は〈ワンカット平均○秒〉等と騒がれていたっけ。高速カット割り、ハンディカメラによる至近距離ショットを中心にアクションを構成しているため、まるでドキュメンタリーのような高いリアリティー演出。本作の最大の見せ場はラスト近くの10分以上に及ぶボーン・暗殺者・警察の三つ巴チェイス。これがなかなか凄すぎて目が回る笑。これはCGではなく、どう見ても本当のカーチェイスだよね。監督の手腕が冴え渡るシーンだ。もちろんマット・デイモンの演技も凄いわけだが。

本作はボーンにとって、ある意味では弔い合戦でもあるわけだが、そうであるならば自分自身も復讐を受けねばならない立場であることを彼は物語の途中で思い出す。そしてラストにある少女に真実を告げにいく。本作は復讐の物語でもあり、贖罪の物語でもあり、全てを受け入れて新たな一歩を進もうとする男の物語でもある。物語としても前作以上に深みが出てなかなか良かったように感じる。

本作はCIA内部の公金横領事件が明るみになることでの組織内の正義と悪の対立も見処で、切れ者女性司令官パメラ・ランディがCIAの闇を暴いていく物語でもある。明晰な頭脳と切れの良い発言で邪魔な上司を牽制しつつ部下にも発破をかける様が勇ましくて好き。こういう格好良い女性って大好きなんだよなぁ。当初は追う側と追われる側だったランディとボーンが、事件の真相に迫る中で少しずつ協力関係に移行していくという展開も好きだなぁ。

そしてラスト、「少し休んだ方がいい。疲れた顔してる。」からの前作同様のMobyの曲“Extreme Ways”で終わる展開。バシッと決まっていてかなり格好良いラストになってるね!
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