このレビューはネタバレを含みます
成人の体に乳幼児の脳を移植されたベラが世界を旅して様々な価値観に触れる事で、人間としての尊厳を取り戻す物語。
弁護士のダンカンとの出会いは、ベラにとってはとても刺激的で、旅先のリスボンで世界の広さを知ることになる。
反対に、
色男・博識・裕福の三拍子揃ったダンカンにとって、社会を何も知らず欲のままに動くベラが魅力的だったのだろう。
リスボンを出て、ダンカンに強制的に船に乗せられてベラ。
閉鎖的な環境にも関わらず、婦人と男との出会いによって、初めて「哲学」に触れる事で様々なことを知る。
人が成長するには、リスボンの経験した「五感体験」だけではなく、本や対話を通じて得られる「思考体験」がとても大事だと思った。
ダンカンにはその「思考体験」をベラに与えることができなかった。
船上で、だんだんとダンカンのメッキが剥がれていくところは見てて気持ち良かった。
こういう男は、この世にたくさんいるな〜なんて思いながら観てた。
そして彼女が最終的には、娼婦から医者になった事にこの物語の大きな意味があると思う。
映画としては完成度が非常に高くて、前半のシロクロから旅に出てからカラーに切り替わるところが印象的だった。
ベラ・バクスターを演じきったエマ・ストーンが本当に凄い。
今年度のアカデミー賞主演女優賞取ってほしい。