いぬちゃん

哀れなるものたちのいぬちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

自分の子供の脳を移植された女性の話。見た目は20代。
あまりにも非人道的、非道徳的なことが了解されている世界で、そこにあるはずのためらいが全くありません。
どこか、夢の中か異世界かを見ているような感覚でした。
ゴットと呼ばれる医師が、ベラに子供の脳を移植したことを話すシーンがありましたが、全くためらいがありませんでした。唯一、視聴者側にいた助手のマッキャンドルも彼女に惚れる始末。ついには婚約します。
まだ子供の脳だった彼女は、自由奔放で皿を割ったり、物を投げたり、手術室に入ってきて死体を切ったり。どこに惚れる要素が?と思ったのですが、この自由奔放で自分を持っていて、まっすぐな心に惚れたのかなと思います。

そんな彼女は家に閉じ込められて、外に出られなかったので、ダンカンという男がきて、外に連れ出してあげると言えば、ついていっちゃう。でも結婚はマッキャンドルとちゃんとするからみたいなことを約束する笑
ゴッドは道徳を教えてなかったのか、ベラは人前で下ネタを言ったり、食べたくないものは吐き出したり、まさに自由奔放
まぁ実験体だから教えてなかったのでしょう笑
また、ゴッド自身も父親に実験体にされながら生きてきた過去があるので、道徳なんていう概念もなさそうです笑

色々あってお金がなくなったとき、ダンカンはもうダメだと嘆いていたけど、
ベラはとても強くて、お金を稼いでくるみたいなことを言って、風俗として働きます。
ちゃんとした教育もされていなかった様子のベラですが、それ故なのか、怖いものなしみたいな感じで、自分なりに懸命に生きていく姿に心打たれました。人生谷底でも、諦めずに行動すれば這い上がれるのだと感じました。最終的には本を取って勉強し始め、医師になるとゴッドに告げています。

演出も独特で最初は白黒の映像が流れます。
過去を表しているのかと思ったんですが、
ベラの心の解放なのかと思います。
ベラはずっと家に閉じ込められていましたが、外への興味が湧き、外に出た瞬間カラー映像になります。その演出も面白かったです。