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哀れなるものたちのくまねこさんのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.7
「哀れなるものたち」を公開初日に鑑賞。
ヨルゴス・ランティモス監督、主演エマ・ストーンによる現代の女性版フランケンシュタイン映画だった!

天才外科医、ゴドウィン・バクスター博士(ウィレム・デフォー)の手により、胎児の脳を移植され、死から奇跡的に蘇った若き女性ベラ(エマ・ストーン)は未知の世界を知るために、スケベオヤジの弁護士ダンカン(マーク・ラファロ)と共に大陸横断の冒険の旅に出る。 時代の偏見から解き放たれ、平等と解放を学ぶベラは驚くべき成長を遂げる…

エマ・ストーンは素晴らしい俳優だが、こんな風変わりでもの凄い演技もできたことに驚いた!

予想してた以上に変テコな作風なのにどこかファンタジックで、寓話的であり多くの示唆、wokeに満ちたフェミニズム映画の印象が残った。

一人の女性が父権的社会の支配から脱して、自身の意思で自由を獲得しながら自立していくベラの生き様は現代の多くの女性へのエンパワーメントになりうる強さがあった。

ダンカンに連れられてヨーロッパ旅行に向かうベラ。ベラをずっと匿っていたのに、独り立ちの旅行を許したゴッドウィン・デクスター博士は”父親”として偉いと思う。愛情を注いで育てたベラはやがて博士から多くの事を吸収し産みの親と同じ道を歩み始めたというのも素晴らしい。

ラストの山羊人間に劇場は笑い声が漏れてた。ベラがたどり着いたハッピーエンドな終着地に明るい未来をみた気がする。
アカデミー賞主演女優賞、衣装デザイン賞、美術賞は確実かもしれない。

(メモ)
ウィレム・デフォー演じるゴッドウィン・デクスター博士の「ゴッドウィン」って、名著「フランケンシュタイン」を執筆したメアリー・シェリーの父親ウィリアム・ゴッドウィンから命名したものらしい。ベラの生き様はメアリー・シェリーの両親の人生とも重ね合わせた物語とも言われてるらしい。