1686年フィンランド映画。カウリスマキ。
「敗者3部作」のひとつ。
ゴミ収集人のニカンデル
スーパーのレジ係をクビになったイロナ
そんな、敗者とも言える二人の中年の恋愛物語。
無表情であるがゆえに、たまにニコリとわらったりする些細な表情が際立つ。なんで、表情が変わらないのに、喜びや怒りや悲しみが伝わってくるんだろう。
なんでこんなにセリフが少ないのに、言いたい事がわかるんだろう。
それは、空気感と映像と音楽の歌詞で感情を表現しているから。
美しくもかっこよくもない中年カップルの恋愛なのに、全く辛気くさくならないのは、ブラックユーモアと、絵のかっこよさと音楽なんだろうな。
赤と青と黄色の色のコントラスト。
ジャズとロック。
夕暮れと夜のヘルシンキの寂れた美しさ。
カッコいいんだ。
これは、「浮き雲」でも言えること。
モノクロだけど「愛しのタチアナ」でも言えること。
74分の中で、よくここまでのものを表せるなと、感動すらする。
たいした盛り上がるシーンも、涙もないのに。
作中の歌いわく、「人生という名の旅に美しい夢はつきもの だけど今度の恋だけは夢で終わらせたくはない」
そんな話。
淡々とした中の、目には見えない恋心。
いぶし銀のような作品。
作中、イロナが女友達にニカンデルの事を「ダサいしかっこよくもないけど、クセになる男」と語る。
そんなニカンデルがダサカッコいい(笑)
寂れた街の寂れた二人の、寂れた、でもなんだかカッコいい恋愛映画。
私の好きな錆びた鉄のような映画。
ジム・ジャームッシュいわく、「最も美しい映画のひとつ」
キャストは、後にカウリスマキの常連となるカッティ・オウティネンとマッティ・ペロンパー初の共演。