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ほつれるのmityのレビュー・感想・評価

ほつれる(2023年製作の映画)
3.5
問題に向き合わず、見ないようにして、それで何となく過ごせてきた日常。目の前の照準を木村に合わせれば、他の事は視線から外せられる···だから、綿子には木村という拠り所が必要だったのかなと思った。現状維持の為に。でも突然にその木村を喪った綿子。そして文則から切り出されるこれからの事、夫婦の修復について。動揺しながらも背を向けて歩き出した綿子のでもその表情はきっと歪んでいただろう事を思うと、文則との足並みの揃わなさが気になった。

文則の相手を思いやってるようで、そうじゃない。謝ってるようで、謝ってない。そのものの言い方が、私には気に障るものだった。ハッキリとは言わず相手に言わせようとする木村の父親の言い方もまた、文則と似たような感じを受けたな。
自分が悪者にならないように、今はその話はしていないと、都合よく煙に巻こうとする文則···そして溢れ出す綿子の中の消化しきれていない過去の事。綿子のモヤモヤがその口から溢れ出た時、押しが強くてと困惑していた英梨が思い出され、よく強気で電話出来たなと思った。

今の想いを綿子が口にした時、綿子自身が何を求めているのかを、ハッキリ理解したんじゃないかと思う。どこからやり直せてれば木村を喪わなかったかなんて分からない。だから、会いたい想いを抱えて、今とは違う道を進んでいくしかないんじゃないかと思った。


#お家映画_21
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