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シェアハウスのdm10foreverのレビュー・感想・評価

シェアハウス(2022年製作の映画)
3.5
【テイスト】

久しぶりにBSSTO(ブリリアショートショートシアターオンラインの略)にて。
モノクロの映像やワイプの使い方など、どこかヒッチコックの頃のようなテイストを感じるショートホラー。

――ルームメイトの二人が共用スペースの使い方で争っている中、3人目の住人は人知れずこの家に住む幽霊と戦っていた。この二つの争いが交差する時、物語は致命的な結末へと動き出す(Filmarksあらすじ)。

これは出だしの雰囲気を「ホラー」と取れるか「コミカル」に感じてしまうかで、その後の印象にも影響が出てしまう気がする。
っていうのも、このシェアハウスに住んでいる3人の距離感(立ち位置)がよくわからなくて、唐突に一人の男性がポルターガイスト現象に悩まされ始めるんだけど、他の二人は全くそこには関知せず、逆にその二人の間だけでチャップリン映画のようなドタバタにも近い「いがみ合い」が繰り広げられてしまうんですね。
同じ家の中にいるのに、彼(心霊被害にあっている男性)だけが蚊帳の外というか、全く気にもかけてもらえないような感じで。
なので、一人だけオカルトテイストの中でガクブルになっているんだけど、それすらもリアルなのか妄想なのか、はたまたキマッちゃてるのか、それとも彼自身も「そっち側の住人」なのか・・・。


ある意味ではその「3人(実質2人と1人)の温度差」がこの作品のミソではあったんだと思うんだけど、2人のいがみ合いがテンポのいいコメディみたいな雰囲気にも感じてしまったので、ただ一人ポスターガイストを対峙しているお兄ちゃんも「真剣」に見えなくなっちゃうのよね・・・。

それこそ出だしのテイストを「コミカル」っていう雰囲気で受け取ってしまったツケがこの辺で影響しちゃったのかな・・・。

ただ、結果的にはいがみ合う二人が原因で取り返しのつかない事態にまで発展してしまうんだけど、この辺まで来て、ようやく3人の距離感や温度差がストーリーとしてまとまってくるのかな・・って感じかな。

不気味な雰囲気は結構好きなテイストではあるんだけど、折角の「ポスターガイスト現象」も同居人たちのガチャガチャした感じに引っ掻き回されてしまって、テンポが狂ってしまったのはちょっと勿体無いかな・・・。
まあショートフィルムなので、物語にメリハリをつけるほど尺に余裕があるわけでもないんだけどね。

ちょっと奇をてらった角度から描いてみたホラーっていう感じで怖くなりそうな要素はあるんだけど、なかなか真っ直ぐに怖がらせてくれない「いけず」な一本でした(笑)

嫌いじゃないんだけどね(笑)
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