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瞳をとじてのtakaoriのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
4.0
2024年78本目
劇場28本目

映画の撮影中に失踪した俳優を、20年以上経ってからかつての仲間が探しだそうとする…というプロットは、ウラジーミル・ナボコフの小説『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』を彷彿とさせる。劇中劇に始まり劇中劇に終わる…という構成、人探しのドキュメンタリーのようでありながら、どこまでが映画かが曖昧になってくる展開は、予想通り「映画についての映画」の典型となっている。失踪した俳優とは、すなわち31年もの間映画を作らずにいた監督ビクトル・エリセのことであり、この映画はエリセの映画人生そのものを振り返るノスタルジーのかたまりである。俳優の娘役に、有名な『ミツバチのささやき』で主人公の少女を演じたアナ・トレントをアナという名前のままで配したのも、この劇中映画「別れのまなざし」がエリセ映画を指すものであることが理由であろう。こういう映画は好き。
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