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グランツーリスモのプレコップのレビュー・感想・評価

グランツーリスモ(2023年製作の映画)
4.9
グランツーリスモは、子どもの頃によくやってた記憶がある。ニューヨークとかグランドキャニオンのコースがあったから「4」じゃないかと思うけど、また引っ張り出してやろうかな。

2023年は「スーパーマリオ」に「テトリス」などゲーム発の映画が多く公開されたが、今作もそれに当たる。「PlayStationスタジオ」なんていう組織があることは初めて知った。

映画になった「グランツーリスモ」はハンドル型のゲームコントローラーを主人公ヤンが購入するところから始まる。「カーズ」や「フォードvsフェラーリ」、「アイルトン・セナ 〜音速の彼方へ」などのレース系映画に目がない自分にとって期待度が高い中、かなりスケールの小さな始まりではある。しかし、そこからのクールすぎる演出と盛りだくさんでどんどんアゲていく進行はかなり期待を超えてきた。

レースはゲームと違い、重力もプレッシャーも身を滅ぼすほどのしかかるが、その中で自分だけの「ライン」を見出して、怖気つくことなく突き進めるか、というシンプルなメッセージが突き刺さった。

レースシーンの演出はかなり革命的。常に順位とラップ数が見える場面はノーストレスでレース展開を楽しめ、純粋に迫力を感じられる没入感はゲーム譲りだと思う。こんな編集・演出もできるなら将来的にモータースポーツは映画界で人気No. 1のボクシングにも肩を並べるかもしれない。

個人的には選曲も素晴らしいと感じた。ヤンがレース前に聴くケニー・Gとエンヤは重要なモチーフになり印象的だった。なにより、アヴァランチーズ「Because I’m Me」は満点の出し方だった。ヒップホップとモータースポーツの相性はバツグンであることがこの映画でも証明している。

開発者の山内さんは寿司職人として出ていたり、ヤン・マーデンボローがスタントで参加しているなど、ここで描かれる歴史における重要な人々がこの映画ではさりげなく入っているのが良い。
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