【何かを考える】
旭川の中学生のいじめによる凍死事件からインスパイアされ制作された短編映画ということだが、物語は全く異なる状況設定だ。
いじめによる様々な事件は毎年のように報じられ、その都度暗澹たる気持ちになる。いじめとはいっても、それは子供の間だけで行われているものではないし、ハラスメントも、部活で半ば公然と行われる暴言や体罰も生徒間ではなくてもいじめのようなもののように感じる。
この短編映画で描かれる物語でも、”もし”と自分や自分の周りに重ねたら、母親の気持ちがわかるように感じる人は多いと思うけれども、本当は、その”もし”をいじめる側の親だったらとか、自分や自分の周りと重ねる必要もあるように思う。
その時初めて、自分の奥底に潜む、ある意味、人間の醜さのようなものを見出すかもしれないし、そうならないためには子供にどのように接するべきか、教えるべきか真剣に考えることが出来るような気もする。
バレーボールの益子直美さんの怒らずに指導するにはという取り組みや、大阪吹田市のいじめをなくすためのシンキング・エラーを考える取り組みが全てを解決するわけではないと思うが、少子化を考えるうえで、子供を大切にしようとか、子供を作ろうかと思える社会にしようと思うのであれば、いじめなどない社会の方が良いわけで、感情的にならずに考える映画だと思う。
別の映画SNSで、この映画をこき下ろしているレビューを見かけたが、あなたのような人が、この作品の登場人物なのではありませんかと言いたくなった。
旭川の事件はまだ道半ばのようだ。
スコアは短編として。