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ペナルティループのhiyoriのレビュー・感想・評価

ペナルティループ(2024年製作の映画)
3.8
荒木紳ニ監督の作品。「カメラを止めるな!」以降、日本のインディペンデント界隈で流行っている設定ありきのゲーム感覚ものと思いきや、主演の二人に素人臭さがないのは言うまでもないが思ったよりアート映画的な装いをしていて驚いた。陳腐さが感じられそうなこの題材からシネフィルが喜びそうなスタイリッシュな演出が随所に見られたり、描くべきところはしっかりと描いたりと生半可な映画ではないという印象。「夜を走る」にも通ずる殺しの描写から妙な軽さへと展開するのが清々しい。怨念は反復するほど無機質になる。憎しみの連鎖は如何にして収まるのか。その回答を示しているようで解決策を誰も得られていないからこれほど空虚なのだろう。ラストは少々蛇足に感じてしまう部分もあるが、オリジナル脚本における物語の構成から一つ一つのデザイン、設定まで徹底していてループものとして異色ながら完成度の高い一作として仕上がっている。
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