ユウト

愛しのクノールのユウトのレビュー・感想・評価

愛しのクノール(2022年製作の映画)
5.0
ストップモーション・アニメーションは傑作揃いだが、本作も仲間入りしたい。
ファンタジーでありながら生きものとして大切な排泄物を当たり前に描いている潔さ。
可愛い生きものも食べたら排泄する。
その対応も含めて私達は共に生活している。
生きている、ということ。

主人公の女の子バブスが子豚クノールを自転車のカゴに乗せて走る様子は『E.T.』を思い出したが、そういえばE.T.には排泄描写がなかった。
いくらエイリアンでも酒に酔うのだから生物として排泄もありうる。
子ども向けのファンタジーでも描写を避けてきた排泄という現象は生きものそのものである。
その点を自然に描けたところに感心した。
(私は『ベイブ』を名作としているが、ベイブにも排泄描写はなかった。
ベイブは賢いので隠れてコソコソ出来たに違いないとムリもあるが、そう解釈している。)

ベジタリアンの気持も尊重したいし、食を愉しむ気持もわかる。
ルールもあれば、守れないこともある。
それこそ、生きものだから。
素晴らしいストップモーション・アニメーションが素直に私達に伝えてくれる、そのおおらかさにも感動した。
ユウト

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