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関心領域のnumahdのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.4
『関心領域』×TBSラジオ「アフター6ジャンクション2」に応募しまして、幸運にも当選して鑑賞させていただきました。


いやはや、何から書けば良いか。何を書けば良いか。
とにかく、この映画は、「お前の事だ」と言っているという事。この時代、この家族特有の話ではない。今まさにのうのうと「平和」に暮らす私たちの、まさに現在進行形の物語として見てほしい。
映画内で映る「塀」は、海のことかもしれない。国境の事かもしれない。国家と私たちを隔てる何かかもしれない。或いは自分の家の壁かもしれない。

覚悟して欲しい。鑑賞したら、当然だが鑑賞前には戻れない。しかし、劇中サーモグラフィーの映像で示される彼女のように、目の前の現実に対して希望や善意を示す事はできる。その行動にだって、望まざる結果はついてくるかもしれない。ただ、そうだとしても。今のままの「関心領域」の広さ(狭さ)で良いのか?とこの映画は容赦なく突き付けてくる。この映画の家族同様、「聞こえている悲鳴」は誰にでも多数あるはずだ。それらに対して自分は何をしたのか?そもそもする気すらあるのか?聞こえてるけど聞こえない事にするのか?
この映画に安易な逃げ場は用意されていない。
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