minayo

関心領域のminayoのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
-
公開を楽しみにしていたら試写会に誘ってもらえた。感謝!

原題のThe Zone of Interest(関心領域)とは、第二次世界大戦中にナチス親衛隊がアウシュヴィッツ強制収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域を指すそう。
この名称と、わたしたちのあらゆる関心に対する訴えかけがダブルミーニングになっていて印象的だった。
虐殺シーンなんて一回も映らない。
それどころか庭園の美しい花々や整った住居。
洗練された映像の奥で聞こえる人間の叫び声や銃声、雲と流れる灰色の煙に白く濁っていく川。
歴史を知っている観客だからこそ、壁の奥を想像できる。
音響や音楽の不穏さで煽られる恐怖心。
映像の構成など全てが新鮮で目が離せなかった。
トークショーではエスが例えに出されていて、それもなるほどと思った。
これはきっと普遍的な問題で、ひとはなにか役割を与えられた時にそれを演じて勘違いしてしまうんだな。
絶対に映画館でみるべき作品。
42
minayo

minayo