アメリカアカデミー賞前夜に1回限りの先行上映ということでこの話題作を観て来ました
恐ろしい映画でした。観る者の恐怖の感受性が試されているような作品です。
あなたが怖がっているのはまだ表層的なものに過ぎないのでは？と問いかけているような映画です
ある家族の何気ない日常が絵葉書のように美しい映像で描かれます。
短いシークエンスを積み重ねて構成される家族の暮らしは私が子供の頃にアニメの世界名作劇場で見たような世界です。
絵葉書と違うのは映像の背後に絶えることなくノイズが聴こえてくることです。
ノイズは叫び声や怒鳴り声や泣き声や銃声のように聴こえますがよく分りません。
何か機械の低い駆動音も聴こえます。
カタストロフィの予感を静かに滲ませながら時は麗らかに流れていきます。
私は本当にこの映画に恐怖することが出来たのか、自信がありません。
塀の向こうの隠された何かに目を凝らし耳を澄ませ、本当に戦慄することが私に出来たとはとても思えません。
「落下の解剖学」で私たちを圧倒したザンドラ・ヒュラーがここでは献身的で情熱的で残酷な軍人の妻を演じていて見事です。
A24は本当に挑戦的な映画制作会社ですね。
3月11日追記
アカデミー賞2冠受賞
ポーランドでロケされたイギリス/アメリカ映画なのに(アメリカのA24製作なのに)国際長編映画賞受賞したのも何だかスゴいですね。それに先行上映の解説でも述べられていましたが音響賞受賞は重要だと思います。
とにかくこの映画、音が怖いんです！ビビります。
